微生物資材の一つの役割として、冬場の栽培の安定化が挙げられます。コフナには低温で働く微生物を含んでおり、その力を利用した使用法があります。特に地温管理、それに伴う肥効の安定、そして冬場施設栽培で重要となってくる二酸化炭素、冬場の前作の残さ処理についてここで説明いたします。
1.地温
冬場は、施設栽培はもとより、露地栽培においても地温を維持、低下を緩やかに下げる手段を持つことは、栽培管理の上で重要な技術となります。地温を1度上げることは、非常に難しいことですが、コフナと有機資材の組み合わせにより地温の低下を緩やかにさせ、春の温度上昇についても急激に上昇させず緩やかにし、作物への影響を緩和させることが出来ております。
地温の変化については、同時に投入する有機物の影響を受けますので、事例を参考に施用物をご検討ください。
2.事例1 長野県キュウリ生産者
施設にて年2回キュウリの栽培を行なう。
使用資材:
秋
- モミガラ 1.5t/10a
- 麦ワラ 2.5t/10a
- コフナ1号 15袋/10a
- MIC-108 3袋/10a
春
- コフナ1号 10袋/10a
冬場の寒さが厳しい時は対照区と比べて地温は高く推移し、地温が上がってくる3月末はゆるやかに温度が上がっています。
3.事例2 愛知県大葉生産者
2009年10月末定植の大葉にて地温を測定
10月31日から2月末まで測定 コフナ区と対象区では元肥、堆肥(2t)は同じ、コフナ区はコフナMPを18袋/10a施用。
測定結果(グラフ)
測定機器:RS-232 THERMOLOG(TECPEL製)
考察
地温が20℃以上の場合は、コフナ区と慣行区の地温の差は殆ど無い。しかし、20℃以下になると地温に差が生じる。特に積算温度で見ると、1、2月の温度は大きくなることからも、地温効果としては温度が下がると発揮すると思われる。また慣行区は地温が大きく上下することはあるが、コフナ区は温度変化が少ない傾向にある。
4.二酸化炭素の発生量
過去に厳寒期にコフナの生育試験を実施した際に、コフナ区と対照区で微生物数、微生物活性に差があることから、(※微生物数が多い圃場ほど冬場の収量が高い)厳寒期での二酸化炭素測定データの推移を調査しております。施設園芸において、炭酸ガス施用が増えてきており、地中からの二酸化炭素の供給があれば、その分コスト削減につながることが推測されます。
現在複数個所で測定を実施しております。正式なデータではありませんが、九州での施設栽培での測定データについて掲載いたします。
測定データ
コフナ区:
夏場にコフナ・ソーラー法にて土壌処理
ピクリン区:
8月に約1か月ピクリン錠剤にて土壌消毒
考察CO2濃度について、ピクリン区に比較してコフナ区は最大で1,000ppm程度高くなっている。
併せて、湿度はピクリン区に比べて、コフナ区が明るい時間帯は高めに推移する傾向が確認されている。
5.コフナを使用して地温を下げにくくする方法
<地温が低い時期での定植・播種>
- 低温で分解可能な肥料・有機物の投入
- 直前まで、フィルム被覆し太陽熱で温度を上昇
※水分がある状態で、温度が上がると下がりにくく、高いレベルで微生物が活動を続きます。
<夏場定植で冬季期間中の地温の上げ方>
- 分解が早い有機物を避け遅い有機物をコフナと同時に使用。
<ポイント>
微生物が活発に動くためには糖分が必要です。下の図を参考に投入資材を検討してください。
- 繊維質(セルロース・リグニンなど)は最終的に微生物のエネルギーになる。
- そのために、長期間にわたって温度を上げたい場合、分解の速度が異なる有機物を投入する。
※単一有機物が入る場合、突然温度上昇・窒素の効き過ぎがあるため、バランスよく投入してください。
6.冬場の残さ分解
夏場に比較して動きは鈍くなりますが、多くの土壌微生物の動きも鈍くなるために比較して優占的に活動すると経験上考えられています。
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水稲のワラ・稲株分解:
根雪の前に散布する事例多数。
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大豆の残さ処理:
大豆収穫後にたい肥と共に散布し、微生物相の改善含めて使用。
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夏秋作物の残さ処理:
12月から1月にかけて堆肥と共に散布。残さ及び特に残根処理として使用。
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ビートの育苗培土:
畑の土壌を培土にする場合、秋に培土に混和し、春に培土として使用。
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緑肥の分解:
冬場の土つくりに秋に緑肥を栽培し、降雪前に散布し混和。