コフナ・ソーラー法

コフナ・ソーラー法とは
①「微生物の種類・数」を増やす
②土壌中に「腐植」を増やす。

この2点を短期間に実施することが出来る方法です。
土壌の微生物性と物理性を改善させて、安定した栽培に向けた土づくりを行います。現在コフナの使用場面で最も多い使用方法で、太陽熱土壌処理を実施する際にコフナを使用する方法です。

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コフナ・ソーラー法とは

コフナ・ソーラー法の実施についてはこちら

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1.特徴

  • 通常の太陽熱消毒に加えて微生物の発酵力が加わります。高温での微生物の働きにより処理温度(地温)の安定化、残根・残渣の早期分解など今までの太陽熱消毒では得られない変化があります。
  • 物理性・微生物性を中心に土づくりを行ないますので、コフナ・ソーラー法終了後、「土質が変わった」「水分をより保持することが出来た」などの評価があります。

2.メカニズム

メカニズム

栽培に適した土に変えるために、コフナ・ソーラー法は

  • 太陽熱による地温の上昇
  • 発酵熱による地温の上昇
  • 還元状態による土壌化学性の変化、酸素濃度低下による微生物層の変化
  • 微生物による有機物・残根・残さの分解腐植化促進
  • 微生物の多様化による微生物層の改善
  • などの効果を発揮します。これらの効果が消毒・土作りに繋がります。
コフナ・ソーラー法

3.コフナ・ソーラー法実施方法

地域・作物により実施方法は変わってきます。今回紹介するものは一例です。
地域で入手しやすい資材、土壌特性に応じて使用資材・使用量の選定をお願い致します。

■使用量・使用資材

施設

コフナ1号もしくはコフナMP

15~30袋/10a

堆肥

1~2t/10a

米ヌカ(易分解性の有機物)

300kg/10a

露地

コフナ1号もしくはコフナMP

10~20袋/10a

堆肥

1~2t/10a

米ヌカ(易分解性の有機物)

300kg/10a

※堆肥・米ヌカ等以外ではビオマス(この場合は15~30袋/10a使用)、バガス、ケイントップ、ふすまなど
■作業
  • ①上記資材を散布
  • ②混和
  • ③散水 水分率は50~60%(握ると形が残る程度)
    ※下層まで十分水分を与えてください。散水後30cm程度掘り水分の有無を確認下さい。
    散水

    散水

    水分の確認

    水分の確認

  • ④ビニール被覆
    試験報告(宮崎県児湯郡新富町)

    フィルムの被覆

  • ⑤1ヶ月以上処理(水分・臭いの確認)
    ※土壌条件により、散水⇒散布⇒混和の場合もあります。

4.実際の測定データ

本項では過去の試験についての概略とデータとなります。
詳細な試験内容についてはお問い合わせください。

<温度データ>

<微生物相の変化・残渣の分解について>

コフナ・ソーラー法の温度変化

事例1.長崎県雲仙市国見町

2007年実施
イチゴハウス圃場での試験
※一般的に施設における太陽熱消毒では天井ビニールを被覆して実施するが、台風の恐れがあり、天井ビニール無しで、地表を覆うフィルムのみで実施。
フナ区はコフナMP 20袋/10a及び堆肥
対照区はコフナの代わりに米ぬかを投入。堆肥はコフナ区と同量を投入
測定に関しては、地下10cmならびに20cmにおける8時及び14時に温度を測定。
地温の差に関しては、コフナ区は対照区と比較して、地下10cmの箇所で2.4度、地下20cmで1.6度の差がある。特に10cmでは朝方は1~2度程度の差であるものの午後からは5度以上の温度差が出る。

※地下10㎝の表と20cmの表の大きさは揃えてください。

地下10m最高地温
地下20m最高地温
事例1.長崎県雲仙市国見町
事例2.山形県村山市 花卉生産者

2007年実施
7月2日に前作のスイカ収穫後コフナ・ソーラー法を実施。8月5日にストックを定植
コフナ区はコフナMP 17袋/10a及びたい肥
対照区は、はコフナ区と同量のたい肥を投入
被覆後、各試験区の深さ10cm・30cm部分に温度計を設置し、朝昼晩の3回計測

事例2.山形県村山市 花卉生産者

処理概要:

7月19日被覆開始、8月1日ソーラー法終了。8月5日定植

コフナ区の地温は、高い状態で維持され、後半は対照区より落ちるときもあったが、平均でも2℃高くなる。
生産者の感想として、コフナ施用区の方が、生育は早く、丈・ボリュームともに充実していたとのことです。

事例3.大分県玖珠郡玖珠町 花卉生産者

2013年実施
コフナ区5月20日から7月11日、コントロール区は6月1日から7月15日に太陽熱消毒(コフナ区はコフナ・ソーラー法、コントロール区は他社微生物資材)を実施。
温度測定は地下20㎝を60分に1回測定

事例3.大分県玖珠郡玖珠町 花卉生産者

コフナ区

慣行区

ほぼ温度差が無いようにみえますが、詳細データをみる限りにおいては、地温の最高温度に関して、慣行区ではほぼ17時から19時の間でその日の最高温度を記録。一方コフナ区では19時から22時頃(場合によっては1時頃)に最高地温を記録しました。

温度変化に関して不明な点はありますが、概ねコフナを入れることにより温度は高く推移する傾向は出てきています。

微生物層の改善/残渣の分解について

試験報告(宮崎県児湯郡新富町)
試験報告(宮崎県児湯郡新富町)

施用方法:

作付け終了後、残渣をすき込み。
その後コフナを施用し(15袋(225kg)/10a)潅水後太陽熱処理を実施。

その他投入資材:

乳酸菌微生物資材

※土壌診断を行った後、残肥があることから堆肥などの有機物の投入はせず。

対照区との比較:

コフナの有無

①PCR-DGGEにて土壌の微生物性を測定
試験報告(宮崎県児湯郡新富町)

処理前
コフナ使用区
コフナ未使用区

10cm 20cm
10cm 20cm

試験報告(宮崎県児湯郡新富町)

処理後
コフナ使用区
コフナ未使用区

10cm 20cm
10cm 20cm

横線1本1本が1種類の微生物のDNAを示す。より多いほうが微生物の種類が多い

②残渣(茎や根等の乾物重)

処理前:試験区5.7g、対照区:4.3gg
処理後:試験区3.0g、対照区:5.0g
※対照区が増えていますが、サンプリングでの誤差と思われます。
処理後の目視では、試験区の方が残渣の残りが少なく、腐植が進んでいたように見られる

③センチュウ数

処理前:試験区1,520頭、対照区:1,307頭
処理後:試験区4頭、対照区:3頭

5.注意点

①水分含有率について
  • 水が抜けやすい圃場
    古い潅水チューブをフィルムの下に入れ、適宜潅水してください。
    また、保水性を上げるため、ワラやビオマスなど保水性が高まる資材を併用して下さい。
  • 水が抜けにくい圃場
    水分を多く含みやすくなるため、温度が上がりにくくなります。出来るだけ容易に分解できる有機物(米ヌカ、バガスなど)と併用してください。
  • 土が固まりやすい圃場
    作業の順番で、まず始めに散水し、トラクターが入る状態になればコフナ、堆肥を投入して下さい。
  • 水が浸透しにくい圃場
    2回以上に分けて(3時間程度散水後、半日おいて再度散水)散水してください。
    試験報告(宮崎県児湯郡新富町)

水分が少なすぎる太陽熱消毒実施中の圃場を観察。
20cm程度掘ると、残根がミイラ化しており、次作栽培中に分解し、生育に影響を与える恐れあります。

②匂いについて
  • どぶくさい匂い
    →水分が多く、還元状態になっておりますが、問題ありません。
  • 味噌の匂い、土の濃い匂い
    →理想的な状態です。
  • 匂いが全く無い
    →再度水分調整が必要です。
③温度管理について
  • 初めてコフナ・ソーラー法を行なうときには15~20cmの深さまで測れる温度計を用意し適宜測定してください。測定に関しては、被覆端から50cmくらいのところで測定して下さい。
④フィルムの被覆外周の温度対策について
  • ハウス内中央部は温度が上がりやすいのですが、ハウス外部と接触する周辺部分は温度が上がりにくくなります。その対策として、外周部分にはコフナを多く使用してください。
④フィルムの被覆外周の温度対策について
④フィルムの被覆外周の温度対策について
⑤元肥をコフナ・ソーラー法時に投入することについて
  • コフナ・ソーラー法を行なうことにより、肥料は無機化が促進されます。元肥を一緒に入れる場合は、土壌で肥料分を保持するために腐植の基となる有機炭素(ワラ・籾殻・ビオマス等)を同時に施用してください。
  • 化成肥料における緩効性肥料は使用しないで下さい。肥料分が溶出しやすい条件(温度・水・微生物)となっており初期肥効が強く出る傾向にあります。
⑥コフナ・ソーラー法後の耕耘について
  • 高い畝や東西方向に畝が立っている場合は、影が出来やすくなり、温度ムラが出来やすくなります。平らな状態で1ヶ月程度コフナ・ソーラー法実施し、畝を立てた後1~2週間処理してください。
  • 雑草を抑えたい場合は、畝を立てた状態でコフナ・ソーラー法を実施し、耕耘しないで下さい。
  • 終了後深耕ロータリーの使用は絶対止めてください!消毒効果の届いていない下層土を表層に持ち上げる可能性があるためです。
    深耕ロータリーを使用する場合は、コフナ・ソーラー法の前にお願いします。
⑦コフナ・ソーラー法実施時の施設に対する影響

施設内温度は60℃を超えていきます。高温に弱いものは持ち出してください。
現在実施している対策として下記となります。

  • 連棟ハウスは温度上昇後サイドを開放します。(降雨時は閉める)
  • 潅水用の塩ビ管は外に持ち出します。
  • 暖房機のコンピューター部分は持ち出します。
⑧被覆するフィルムについて

水分を保持するためには絶対必要です。少々古いフィルムでも問題ありませんが、穴がある場合は補修してください。なお、現在ハウスの内張りフィルムで微細な穴がある商品がありますが、水分は抜けるために使用した場合効果が落ちます。
台風や嵐などの強風で飛ばされる可能性がある場合は、一度収納し、再度展張することも可能です。
フィルムの上に水が溜まっている際には、その水により温度上昇が抑えられます。そのために、一度フィルムに穴をあけ、水を抜いた後補修してください。

⑨雑草対策

雑草種子を不活性化させるには一定の温度を保つことが必要です。
(中央農業総合研究センター調べ)

55℃で6時間以上 

50℃で48時間以上

45℃で168時間以上

40℃では抑制効果は低い。

以上の事から、表層から数cmについては、抑制効果は期待できますが、深層にある種については期待できません。処理後、土を動かさずに定植・播種をすると雑草は減らせますが、通常の耕起作業をすると雑草は出てきます。
※雑草は良く伸びるが、抜きやすくなるという声は多く頂いています。

⑩冷夏の場合の対策

太陽熱による消毒効果は落ちます。しかしコフナ・ソーラー法は熱による消毒だけに頼っておりません。しかし通常よりも微生物の増殖は低い可能性があります。そのため定植を遅らせることや、微生物性を高めるために、定植前にコフナを追加して頂くことがあります。状況により対策は変化いたしますのでお問い合わせください。