圃場の物理性の改善には、土壌の柔らかさ、それも一時的ではなく栽培期間中を通じて大きな変化の無いことが求められます。土壌の柔らかさはロータリー耕の実施方法や実施するタイミングの影響も受けますが、基本的に柔らかさに大きく影響するものが腐植と土壌の団粒化です。
そのため圃場の物理性の改善については、腐植をいかに圃場全体(土壌中)に作り、維持し、そして補給していくかがポイントとなります。当然ながら改善効果を早めるために粘土鉱物の利用や、耕種的(深耕ロータリー、サブソイラ、プラウ、プラソイラ等)な対策も含めて実施することにより短期間での改善効果を上げることも可能となってきます。
例えば
問題点 | 対策の基本的な考え方 | |
排水性が悪い 水溜りが出来る |
深層まで腐植を入れ、団粒化を促進 横にも縦にも水を移動させる |
|
保水性が悪い | 全体に腐植を。水を保つ物質を土の中に | |
作土が浅い | 客土、機械で強制的に土を砕く方法もあるが 植物(緑肥等)の力で深くまで耕す。 |
などがあります。
長年コフナを使用している生産者の方から「耕盤が無くなった!」という声もあります。また、水溜りが有り、その周辺から土壌病害が発生していたのが、「コフナを使用してから排水性が向上し栽培が安定した」、はたまた「毎年旱魃に苦しんでいたのが対応できるようになってきた」との声があります。これは、コフナの基本的な考え方である“微生物と腐植”によるものです。腐植が出来ることにより土壌の団粒構造ができ、保水性・排水性が向上し、それが年々深層部にまで増えて物理性が改善されていきます。
1.耕盤層の改善について
ここ最近特に物理性改善の課題として耕盤層が挙げられており、その対策を説明いたします。
《耕盤層が出来る理由》
年々機械の大型化がすすみ、大型になればなるほど重量は増加し踏圧が増加し、単位面積あたりの土壌圧縮率が上がります。それ以外にも下記が挙げられます。
- 堆肥の不使用による土壌の腐植の減少(団粒構造の破壊)
- 施設等での栽培回数の増加により、ロータリー耕の増加
- プラウ耕の多用
《耕盤層の問題》
耕盤層が出来ることにより
- 排水性及び通気性の悪化
- 土中の空気不足による発芽、生育不良
- 耕盤層に溜まった水による根腐れ、及びその場での病原微生物の繁殖
- 耕盤層が浅いことにより、根の伸びが阻害され肥料の吸収の低下
- などが引き起こされ、収量の低下・品質の悪化・連作障害の助長に繋がります。
《コフナを使用した改善方法》
コフナを毎年使用し続けると年々耕盤層は柔らかくなり、上記問題点の発生を回避できます。
特に早急に耕盤層の破壊を行なうのであれば、
-
①サブソイラなどの鋤耕の実施。同時にコフナの施用
※深部にコフナを入れることにより、水路も出来、根も伸長しその部分から改良が進み、継続使用により、毎年のサブソイラ耕を避けることができます。 -
②緑肥作物(ギニアグラス・ソルゴーなど)や水稲の青刈り
青刈りする際に、コフナ(コフナ1号もしくはコフナMP)を5~10袋/10a(作物にあわせて使用量を変えて下さい)同時に散布
※根が深い場所まで到達する作物の根を分解するためにコフナは深部まで入りやすくなります。同時に作土の腐植を増やすことにもつながり、根がより健全になります。 -
③栽培終了後のコフナ施用の継続
特に①②の手法をしない場合でも、コフナを毎年使用されている方に関しても、徐々にですが、「作土が深くなる」「排水性が良くなる」という報告があります。現状の作土層の厚み、柔らかさを維持するためにもコフナは毎年投入することをお勧めしております。
同時に適切な副資材との組み合わせでより安定して維持することもあります。
一部で耕盤層の破壊のために、重機で掘り返しを行なうことがありますが、短期的には改善しますが、根本的な解決には繋がりません。同時に微生物層を破壊することにもなり、栽培には悪影響を及ぼす可能性があります。(下層土は嫌気性微生物が主体で、表面部分は好気性微生物が主体となります。天地返しをすることにより、両者が死滅し、土中の微生物レベルは低下します。)
2.緑肥を使用した土壌硬度の改善について
■緑肥作物と微生物資材コフナ併用の効果
- 緑肥(根からの分泌物含む)をエサとして有用微生物の多様性・増殖に繋がります。
- 土壌の微生物活性が向上し、静菌作用が高まります。
- イネ科やアブラナ科などC/N比が高く、分解に時間を要する緑肥のすき込み時にはコフナに含まれるセルロース分解菌が優れた効果を発揮します。
2.緑肥との組合せによる改善例
≪北海道栗山町≫
平成28年9月の収穫風景
左:コフナ+緑肥
(6月集中豪雨後7月生育状況)
右:コフナ・緑肥なし
栗山町の土質は粒子が細かく、硬くなりやすいため「作業がしやすい畑づくりが重要」と考え、タマネギ収穫後に後作緑肥を導入。秋の緑肥すき込みにコフナを使用すると、春先の畑は水はけが良い。
近年、旱魃や多雨などの異常気象が続く中、コフナ+緑肥組合せの圃場では根腐れもなく順調に生育している。
■耕盤層改善の例(※水稲イメージ)
“稲株の腐熟促進”試験でのデータ引用(2016年10月下旬)
【コメント】
土壌硬度に関して、各区の20~30cmの深さでの土の柔らかさを比較すると、明らかにコフナ区が土を柔らかくなっています。水稲の根の量としては深層部は表層部と比較して少なくなりますが、深層に伸びる根は、外気の影響を受けにくいため、暑さ・寒さの影響を受けにくくなっています。また、作土層を広げることにつながっており、倒伏にも強いと思われます。
3.硬度改善事例
土壌硬度改善事例(岡山県笠岡市 笠岡干拓)
平成25年よりキャベツの生育改善を目的に使用を開始する。
(使用面積は一部。本格的な使用は28年より)
圃場の様子(灰色低地土で、土が細かい)
※コフナ使用前
コフナ使用前のキャベツ圃場
寒さ、大雨、旱魃の影響を受けると生育が直ぐに不良になるために、土壌の改良、特に排水性、保水性の改善を高める。地力も低いためその改善も含めて提案を行う。
基本的に方針として夏場にとうもろこしを作付けし、その残渣を全て鋤込み、同時にコフナを入れていく。冬取りのキャベツを栽培するため、当面牛糞堆肥も合わせて投入し地力窒素を高いレベルに上げるようにする。
2016年8月23日測定畝間部分を測定。
前作はとうもろこし。残渣をコフナ10袋/10aと共に鋤込み。
下の写真は2016年11月7日 生育は順調に
2017年4月20日収穫し残渣鋤込み後測定
0-20cmの深さはロータリー耕の後なので、柔らかい。
20cm近辺付近に若干固い層が見られるが、以前の水を通さない層は消える。
●この後とうもろこし栽培を実施。残さ鋤込み時に堆肥とコフナを投入
2017年10月5日測定(9月15日定植)
(左)畝間(右)畝部分を測定。
根の動きが抑えられる層は消える。