<育苗の良否を決める3つの要因>
様々な作物で育苗管理が行われていますが、発芽したての苗は外部の環境に対する抵抗力がまだ備わってないため、育苗の準備や管理には細かい注意が必要となります。
大きく分類すると育苗の良否を決める3つの要因として、①培土の質 ②水管理 ③温度管理が挙げられます。根の生育が悪い徒長苗や育苗の時点で病害に感染した苗などでは本圃への移植後において、活着が悪く生育が遅れたり、病害を持ち込み、被害を大きくしたりする結果となります。
コフナは3つの要因の一つである「培土の質」向上において健苗作りを目指します。
<植物の生育ステージ>
①発芽~子葉展開期 | 病害に感染しない時期 親から継承した抵抗性を持つ期間 |
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②子葉展開~本葉3枚前後 | 抵抗性が最も弱い時期 病原力の弱い菌にでも感染して病害を発生することができる時期 親の恩恵を受ける従属栄養から自己同化の自立栄養への移行期 |
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③本葉4枚以降期 | 自立期 根ではその作物に特有の根圏微生物相が微生物の好みによって形成される。 病原性が分化したその作物種に親和性がある菌でないと感染することは出来ません。 |
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④定植期 | 病原菌に感染しやすい時期 根を痛める可能性があります。 苗床から圃場へ環境が変わるため植物の体質も変わります。 |
1.育苗場面に使用するコフナの種類
- フランスコフナ:一般的に使用。若干の撥水性有り。播種直前の使用が可能。
- 育苗用コフナ:フランスコフナの撥水性を解消した製品。主として水稲育苗に使用。
- コフナ1号:ビートの育苗土などで使用。播種までに熟成期間を取れる場合に使用。
- コフナMPSS:育苗ハウス置き床の土づくりに使用。育苗後の後作緑肥のすき込みに使用。
播種までに熟成期間を取れる場合に使用。
2.基本的なコフナ使用方法
育苗土の準備は市販の製品を購入したり生産者自身で作ったりしますが、一般的には各種の用土に調整用の有機物として腐葉土やピートモスなどが使用され、pHや肥料成分が作物に応じて調整されています。
これらにコフナを加えることで育苗土への病害菌の汚染や繁殖を予防し、発根後の根圏にて、病原菌の寄生を抑制する効果が期待できます。育苗土の腐植も高まり発根作用も高まりますので徒長しない健苗が育成出来ます。
- 水稲の育苗:床土に育苗用コフナを1箱あたり、50~60gの割合で均一に混合します。コフナは水分とpHが適正な場合の立枯病は良く抑えますが、ムレ苗についての抑止力は弱いので、灌水や育苗培土のpH調整を始め、育苗ハウスの保温や換気などを適切に行って下さい。
- 花・野菜の育苗:培土1㎥当りフランスコフナを25kg施用します。
- ビートの育苗:育苗土10a分(6冊:約350kg)あたりコフナ1号 3~5kgを前年夏から秋に混和します
- 使用上の注意:コフナには肥料成分が保証されておりません。肥料は別途必要量を使用して下さい。
培土にコフナを混和し堆積
(神奈川県横浜市)
ポットへ培土を詰めた様子
(神奈川県横浜市)
3.事例1 育苗ハウス置き床へのコフナ使用方法
育苗ハウスには様々な形態(ポット、セルトレー、ペーパーポットなど)の苗が並べられています。育苗期間中には育苗用資材の底面より根が伸長し、育苗ハウスの置き床に根が進入します。置き床から苗への病害感染の避けるためにも、育苗管理を終えた後には置き床の残根分解や微生物性の維持・改善を目的としてコフナを施用します。
- 育苗後の後作緑肥すき込み:1坪当たり0.5~1.0kgのコフナMPSSを緑肥すき込み時に合わせて土壌混和。
- 土壌消毒剤使用後(除草):除草目的にて農薬による土壌消毒後は置き床が無菌状態になっています。病害菌の密度が高まらないよう土壌消毒後にコフナMPSSを1坪当たり0.5~1.0kg土壌混和。
根きりマットに残っているビート苗の根
(北海道斜里郡斜里町)
4.事例2 佐賀県タマネギ育苗
8月にタマネギの育苗床に土壌消毒を実施(主にバスアミド)し、9月後半に播種をする体系を取っています。連作障害を回避させるために圃場を変えることが多いですが、管理の簡便さから圃場での育苗が増えてきています。9月の秋雨前線による多雨の影響を受けることが有り、土壌改良の必要が出てきています。露地栽培での育苗のため、除草目的としての土壌消毒が必須となっており早めにコフナを投入し土壌改良を行い、最後に土壌消毒を実施するという方法を進めております。
使用時期:7月上旬までに
使用量:
コフナ1号もしくはMP-SSを5~10袋/10aを施用
※使用時期に関しては可能な限り早めに投入をお願いしております。
土壌消毒:なるべく浅めにバスアミド等の土壌消毒を8月中旬に実施。
※梅雨明けからコフナ・ソーラー法ができないか現在検討中です。
2016年11月 佐賀育苗圃場