コフナには有機物を分解する微生物が多種多様に含まれています。その特性を活かして、堆肥づくりに利用されています。コフナを使用することにより、早期にたい肥に含まれる有機物が腐植化され、併せてコフナそのものと比べてパワーは落ちますが、微生物の補給に繋がります。
1.堆肥制作のポイント
コフナを用いた堆肥の作成方法およびそのポイントを紹介します。ポイントとして5点があげられます。
1.原料 2.炭素率
3.水分 4.温度
5.切り返し
1.原料
原料の種類が少ない場合でも堆肥の製作は可能です。しかし一部の原料は少量でも良いので複数原料を投入することにより、単純な微生物相でなく、多様な微生物相を生み出すことができ、コフナの特徴を活かすことが出来ます。その堆肥を投入することにより、土壌の微生物相が多様になります。また腐植化速度も多様化し腐植・微生物が長期に機能することになります。
参考
2.炭素率
炭素率(C炭素量/N窒素量)が20から30になるように調整をします。ワラやモミガラだけだと炭素が多すぎて分解が進まず、逆に鶏糞だけだと早く進みますが、途中で微生物の活動が止まってしまいます。また、単純にC/Nだけでなく、リグニン・セルロース・ヘミセルロースの割合により分解速度に変化が起こります。
3.水分
はじめは50~60%になるように水分を調整してください。温度が上がり、水分が蒸発しすぎると、発酵は止まります。コフナを使用した場合は、フィルム等をかぶせることで水分の蒸発を抑えてもらうようにしております。
4.温度
堆肥を作成するにあたって、必ず温度が60℃以上になるように、原料・水分・環境を整えてください。低い気温ではじめる際は、できるだけ分解の早い有機物(鶏糞、米ぬか等)を原料に加えて下さい。
堆肥の際に、温度を上げず、乾燥だけの場合が有ります。その場合、病原菌が残り、雑草が生えることが有ります。また熟度が上がらず、散布した際植物に害を与える恐れがでてきます。
5.切り返し
水分を均一にするために、おおよそ堆積1カ月以内に1~2回切り返しを行ってください。その後は、コフナの嫌気性微生物の特徴より、酸素が無い中でも有機物を分解しますので、切り返しは不要となります。
※水分の確認はお願いします。
2.堆肥の作り方-基本-
作製方法
- ①MIC-108を米ぬか、ふすま等で3倍程度の量に混ぜる。
- ②原料に対してサンドイッチ状もしくは全体になるべく均一に混ざるように堆積。
- ③堆積する山は大きく、高くします(温度が上がり易くなります)。
- ④水分を50~60%に調整する。
- ⑤フィルムで被覆します(水分、温度の保持)。
- ⑥切り返しは発酵初期に1~2回行ったら、その後は切り返さないで下さい。
(コフナは嫌気性菌を含むため酸素が少ない内部でも発酵します。) - 完成
使用量
MIC-108・フランスコフナを使用する場合は原料2~3tに対して1袋を
コフナ1号・コフナMP-SSを使用する場合は原料1tに対して1袋
注意点
堆積中水分が少なくなった場合は、内部を確認の上保水してください。
畜糞主体の場合とバークやオガクズが多い場合は多めに使用して下さい。
窒素源として化成肥料(硫安、尿素)の使用は可能ですが、石灰窒素は使用しないで下さい。
3.堆肥の作り方(使用例)-モミガラ堆肥-
材料
モミガラ2~3t(粉砕モミガラに尿素を溶かして散布)に対して
MIC-108(10kg)1袋
もしくはコフナ1号 (15kg)2袋
※この写真は、粉砕モミガラを使用していますが、モミガラは撥水性が高いため農機具や軽トラのタイヤで何度か踏み傷をつけるようにすると水分が含みやすくなります。
作業
原料を入手し、置き場に積む際に、米ヌカで増量させたMIC-108をサンドイッチ状に堆積
堆積後古ビニール等で被覆
おおよそ2か月に1回程度水分補給をしつつ切り返しを実施。
拡大
11月初旬に堆積し、6月の状況。部まで微生物による分解が進みます。
モミガラも一部形が残るのもありますがほぼ崩れます。
4.参考
有機物の炭素率について
有機物の分解にとって炭素率は大きな影響を与えます。そのため堆肥づくりの際には炭素率(C/N)を20~30に調整する必要があります。調整のための参考資料を添付いたします。
堆積材料の炭素含量(%)炭素率の矯正には
(例)1tの籾殻の場合炭素率30に矯正する場合
40/30-0.5=0.83%
1tの原料に対して8.3kgの窒素が必要。窒素4%の鶏糞を混合する場合は約200kgが必要になる計算となります。